タッチパネル(中)

抵抗膜方式

マトリクス・スイッチに代わるタッチパネルとして抵抗膜方式が現れた。透明電極を構成する金属薄膜は抵抗を持っている。対向する2枚の抵抗膜のうち1枚に対して電圧をかけておくと、操作した位置に応じた電圧が2枚目に発生する。電圧を検知する事によりアナログ量として操作した場所を検知することができる。

抵抗膜方式には欠点が2つあり、面積が大きくなればなるほど精度が下がる事、もう1つは金属薄膜を2枚必要とするために透明度が劣ることである。前者はマトリクス・スイッチ構造を応用し複数のエリアを独立して検知することで回避でき、後者は抵抗膜方式の本質的な構造によるもので材料を工夫する以外の対処方法はない。なお、圧力さえかけられれば機能するため押さえるタッチパネルは指でなくとも良い。

表面弾性波方式

表面弾性波方式は抵抗膜方式の欠点である透明度の低さを解決するために開発された。剛性の高いガラスなどの基板の複数の隅に圧電素子を取り付けて振動波を発生させる。板に触れていると固定点となり、振動波はそこで吸収され一部は跳ね返る。跳ね返りを圧電素子の電圧の発生によって検出する。各々の反射時間を計測して指などの接触した場所を検知することができる。超音波方式とも呼ばれる。

抵抗膜方式に比べて視認性に優れ、構造的にも堅牢で寿命が長く出来る。抵抗膜方式同様に、押さえるタッチパネルは必ずしも指でなくとも良いがある程度制約はある。

赤外線方式

主に赤外線LEDが光源であり、透過型ではこの赤外光を遮断することで位置を検出するが赤外光だけではスイッチの押し下げを感知できない。反射型では操作面の周囲に赤外線LEDとそのセンサーを厚みをつけて配置する為の額縁が必要となる。日光の入る野外やその近くでは使用できないなど多くの制約があり、あまり採用されていない[1]。 光センサーと液晶を一体にしたパネルを使用した物もあり、指やペンの影や反射光を検知する。 シャープのMebiusに光センサー液晶パッドで採用された。

電磁誘導方式

電磁誘導方式では電子ペンと呼ばれる専用のペンが必要となる。元々は画面表示を考慮しないペンタブレットでの位置入力方式だったが、センサー部を液晶画面の下に配置することで、元々高い読み取り精度をそれほど犠牲にすることなくタッチパネルとして実現出来た。電磁誘導方式の最大手のワコムでは静電容量方式と電磁誘導方式を共に備えた製品を開発し出荷を予定している。この併用製品ではペンでも指先でも操作が可能となり、電子ペンを使えば筆圧やサイドスイッチ等を検出できる。この方式により静電タッチの視認性を犠牲にせず、通常ペン入力が不可能な静電タッチ上で高精細な電磁誘導ペンが使えることになる.

静電容量方式

静電容量方式のタッチパネルには2つ種類があり表面型と投影型がある。両方とも指先と導電膜の間での静電容量の変化を捉えて位置を検出する。指がセンサーの表面に近づくだけで静電結合が起きる性質を活かして接触する前にカーソルを表示するといった表現や操作も可能である。静電的な導電性がある物体で押さないと反応せず、抵抗膜式では反応する爪やタッチペンでは操作が不能。また、水滴で誤作動が起きる他、水中では反応しない為、防水仕様の携帯電話にこの方式が採用されている場合は水回りでの操作に不便が生じる場合が有る(水中では音量ボタン、撮影ボタン等の物理ボタン以外使えなくなる)。

表面型:

10型以上の製品に使われる場合が多い。カバー、導電膜、ガラス基板の3層から成り、導電膜はガラス基板の上に張り付き、ガラス基板の四隅には電極が設けられている。導電膜によって均一な電界が形成される。指が画面に触れると駆動回路からの微弱電流が隅の端子、導電膜、カバーをすり抜けて、指を経由して大地を含む周辺環境と駆動回路との間で閉回路を構成する。駆動回路側で四隅の端子の電流量の比率を計測することで指の位置を判別できる。仕組みが単純で廉価に作れ、比較的大型化しやすい。

投影型:

投影型の静電容量方式は指先の多点検出が可能である。一般に投影型は、絶縁体フィルムとその下の電極層、さらに制御ICを搭載する基板層から構成される。絶縁体フィルムの下の電極層にはITO等の透明電極によって縦横2層からなる多数のモザイク状電極パターンがガラスやタッチパネルなどの基板上に配置される。指が触れるとその付近の電極の静電容量の変化を縦横2つの電極列から知ることで位置を精密に判別できる。縦と横に走る多数の電極列によって、多点検出が可能となるが端子数が多く製造費が高くなる。ITOによる配線では抵抗が高くなりすぎるため、そのままでは大型画面化に向かない。大型タッチパネルでは検出用電極からの配線は別の金属配線層によって抵抗を小さくしている。位置検出を行うICが必要であり、それらを結ぶ多数の配線も含めた製造費が高くなる傾向があるが、多点検出が可能であるなど実用性は最も高く、タブレット型の携帯端末に多く採用されている。

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